機材・設定
カメラボディに Panasonic LUMIX G9 PRO を使用し、レンズには Panasonic H-FS14140 (14-140mm F3.5-5.6) を組み合わせた。G9 PRO の卓越した描写力と手ブレ補正、そして 14-140mm の幅広い焦点域を活かしつつ、撮影場所における被写体と背景(紅葉)との距離を慎重に捉えながら構図を設定した。
設定はマニュアルモード(M)で行い、その上で露出コントロールの主軸を絞りに置いて実質的に「絞り優先」の運用とした。これにより、背景となる紅葉の木々をなだらかにボケさせ、被写体を際立たせる柔らかな描写を狙った。特に望遠側焦点距離を活かし、開放寄りのF値によって背景の紅葉が滑らかに溶け込むようなボケ味が得られ、被写体はより自然に画面の中で浮かび上がっている。
撮影意図・表現
今回の撮影における意図は、秋の深まりを感じさせる「紅葉」の色彩を活かしながら、背景としてそれ自体が印象的ながらも“モチーフを引き立てる”役割を担うよう設計することにあった。すなわち、紅葉を背景に立たせるのではなく、「紅葉に包まれた被写体」という空気感を纏わせることを目指した。背景のディテールを残しながらも、それを主役にせず、柔らかく溶け込ませることで、立体的な画づくりを図った。
また、G9 PRO の鮮明な解像性能と繊細な発色が、季節感を損なうことなく、画面全体に“秋らしい深み”と“被写体の存在感”を同居させることに大きく貢献している。
総評
14-140mm という焦点域は、風景と被写体のバランスを自在に変えることができる強みを持つ。特にこのような紅葉の撮影では、背景の木々と被写体の距離、視角の取り方、絞り・焦点距離の組み合わせが、印象的な“ぼけ味”を生む鍵となる。本シリーズではそれらを意図的にコントロールし、「紅葉背景+被写体」の構図において、見る者に“豊かな季節の気配”を感じさせる気配を漂わせた。
被写体と背景の関係性を丁寧に設計しながら、機材性能を最大限に活かすことで、『一瞬の光に、永遠の想いを』というキャッチフレーズが示すように、まさに刹那を捉えた一枚を収めることができたと思う。